「コーヒーの科学」紹介(7)

#7章の紹介

7章のテーマは「抽出」です。こちらも、6章の焙煎と同様、前著『コーヒー おいしさの方程式』で一部についてはすでに触れていました。ただし、その前に参加した『スペシャルティコーヒー大全』ではほとんど触れていなかったため、焙煎に比べるとさらに、これまで出してこなかった話の多い部分になります。


ただ、実をいうと抽出に関する研究はあまり進んでおらず、また論文が出ていても応用の効かないデータが大半なのが現状だったりします。このため、この章は(主に)日本での抽出の現状を踏まえてその原理を解釈するという、やや試験的な内容になっています。そこから導き出される内容については、じつは既に結果の図だけを先に『おいしさの方程式』のカラーの挿絵として公表ずみです。今回は、その図が出てくる元になる、総合的な「理論」の解説から行っています。

また各論として、ドリップ、サイフォン、エスプレッソ、プレス……と、いろいろな抽出器具、抽出法についても解説しています。いわゆる「ハウツー」やTIPSは少ないですが(それはどっちかというと、普通の「コーヒー本」の領域ですし…)それぞれの簡単な歴史や器具の特徴のほか、抽出のクセのような部分についても解説していますので、上手く活用すれば、日々のコーヒー抽出にも役立てることは可能だと思います。