「コーヒーの科学」紹介(6)

#6章の紹介

6章のテーマは「焙煎」。焙煎については、前著『コーヒー おいしさの方程式』や、科学監修として関わった『田口護のスペシャルティコーヒー大全』なども通じて、これまで最新の科学研究を紹介する機会が何度かありました……というより、カフェバッハの田口氏が見いだしてきた経験則と、私の知り得た科学知識を擦り合わせ、どうやって「高品質な焙煎豆作り」に活かすかというのが、これまで関わってきた本での大きなテーマだったわけです。このため、自家焙煎店などで焙煎機を使って焙煎するプロ向けの内容が中心だったとも言えます。


しかし少し視点を広げてみると、手網やフライパンなどで煎るのも、れっきとした「焙煎」です。焙煎によって(商品になるかどうかなどの、品質はさておき)物理的、科学的変化が豆に生じるという現象自体に変わりはありません。そこで今回は、もう少し俯瞰的なかたちで、焙煎を考えてみました。

自分で焙煎したことのある人は、読者の中にはそれほど多くはないことも考えて、まずは簡単な「手網焙煎のやり方」を紹介、そして中盤で焙煎時の科学的な変化について解説し、章の後半でプロの焙煎機についての話をしています。これまで前著などで紹介してきた話は、この「後半部分」を詳しく掘り下げてたわけです。

このため、プロにとっては若干物足りないかもしれませんが、中盤だけでもおそらく初めて聞くような内容が多いと思いますので、どうか一つ勘弁してもらえたらと。