『コーヒーの科学』紹介(5)

コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)

#5章の紹介

コーヒーの香味を生み出すもの……それは、コーヒーに含まれる多種多様な化学成分です。ただの白湯からは、コーヒーらしい味も香りも感じることはありません。生豆を焙煎することによって作り出され、抽出によってお湯へと溶出してくる化学成分が、いわば「コーヒーの香味の本体」だと言えます。


コーヒーの味や香りの成分は古くから研究者の関心を集めてきましたが、その正体はまだ完全には判っていない部分が残っています。とは言え、1990年頃からの研究の進展によって、苦味や酸味、香りなどの中心的役割を担う成分について、徐々に明らかになってきました。5章では、こうした「コーヒーらしい香味」の成分を中心に解説しています。


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前著の紹介記事( http://d.hatena.ne.jp/coffee_tambe/20140112 )でも少し触れましたが、コーヒーの味の元になる化学物質については「百珈苑」本体の方でも記事を公開しています。



また、前著となる『コーヒーおいしさの方程式』では、さらに「香りの化学」の内容にも踏み込みました。コーヒーの香り成分は種類が非常に多いのですが、上手く分類すると、グループごとの香りの特徴やその発生過程などに、ある程度のパターンを見いだすことが可能です。そしてさらに、(1)多くのコーヒーに共通する香気成分(のグループ)、(2)深煎りに共通する成分、(3)浅~中煎りに共通する成分、そして(4)独特な品種や銘柄に固有の成分、というかたちに整理していくことができます。

前著では、おおまかな総論はフレイバーチャート(右図)にまかせて、あまり詳説はせず、トピック的な香り成分をいくつか紹介するようなかたちにしていました。今回は、この「香りの化学」の各論をさらに詳しく、「コーヒーらしい香り」の元となる成分、「香ばしさ」の成分、ウイスキーのような深煎りの香り、浅~中煎りの甘い香り、そしてゲイシャやケニア、イエメンモカの香りなど、さまざまな「コーヒーの代表的な香り成分と、その特徴」について解説しています。