Q.コーヒーさび病にも新型とか旧型とかあるの?

A. コーヒーさび病菌には、これまでに40種類の型(病原型, pathotype)が報告されてます。


コーヒーさび病には、複数の「型」があることが判っています。現在までに40種類の系統(race)が見つかっており、それぞれ、Race I, Race II …Race XXXXという風に、ローマ数字で名付けられています。これらの型の違いは、ポルトガルに「さび病研究所(CIFC)」が設立した直後、1950年代に、いろいろな国、いろいろな年に発生したコーヒーさび病菌を集めて分類した方式を継承しています。

コーヒーノキの仲間には、野生種や栽培種を含めていろいろな品種がありますが、さび病菌の種類によって、それぞれが病気を起こせる品種に違いがあります…ある種のさび病菌はいくつかのコーヒーノキには感染せず、また別の種類のさび病菌はいくつかの種類のコーヒーノキに感染はできるが軽度、と言った具合に。こうして、それぞれのさび病菌がどの品種に感染できるかをまとめた結果から、グループ分けされました。これは、病原性の違いから分類したものなので「病原型」と呼ばれてます。


現在、世界的にもっとも広い地域で流行しているのは「Race II」と呼ばれている古いタイプで、ロブスタ以外のいくつかの部分的耐病品種*1でも有効です。CIFCが分類する以前に、インドの研究者Mayneが分類した「Mayne's race 1」と呼ばれていたものと同一の系統で、19世紀に東南アジアで猛威をふるったものと同じか、非常に近い系統だと考えられています。

特にラテンアメリカで流行する株は、少なくとも近年までは、ほとんどこのRace IIだけです。ただしブラジルではこの他、Race IやRace XVなどが分離されることがあり、世界的に見ると、Race II (58%), Race I (14%), Race III (9%), Race XV (4%)…の順に発生頻度が高くなっています。いちばん多くの型が見られるのは、インドや東ティモールなどの東南アジア地帯です。またさまざまな種類のコーヒーノキの仲間(コフィア属)が自生しているアフリカ大陸でも種類が豊富です。


今回、もし新型が発生したのであれば、おそらく41番目の型になる……といいたいところですが、この分類法はかなり古い方法なので、ひょっとしたら別の分類法に置き換わっていく可能性もあります。この「病原型」での分類は、あくまで耐性品種とのマッチングを基準にしたものですから、例えば、「病原型的にはRace IIと同じなんだけど、高標高に適応した新型」みたいなものは、この分類法では区別できませんので。

*1:リベリカやケントなど