『コーヒー おいしさの方程式』紹介 (2)

2011年に出た『田口護のスペシャルティコーヒー大全』(以下 SP大全)は好評を博しており、日本だけでなく台湾(繁体)、韓国、中国(簡体)でもそれぞれ翻訳されています。また先日、二分冊化した電子書籍版も発売されました。

田口護のスペシャルティコーヒー大全 ( )


ただし珈琲大全に比べると内容が難しいという声もあったようです。特に科学的な部分の内容は、普段聞かない単語があって「難しかった」と。そこで「SP大全の内容を解説する本を出そう」という企画が、発売後にスタートしていました。NHK出版の出版スケジュール*1等の関係で、企画当初の予定からは遅れたものの、2014年1月に無事、世に出る運びになりました(電子書籍版も後日発売予定です)。


こういう経緯で生まれた本ですので、その内容は「SP大全の内容をわかりやすく解説した本」…と言いたいところですが、その説明だと半分くらいでしょうか。


内容の半分弱くらい?は、SP大全のおさらいと解説…中でも特に難しいと思われる焙煎理論と、焙煎ダイアグラムやフレイバーチャートなどの図版の見方の説明や、活用法の提案にあてられているので「SP大全の内容を解説」という、企画当初の目的は果たしていると思います。


また「自称(?)科学オンチ」の嶋中労氏の、「専門用語、特にカタカナ語を極力使わないで」「僕でも理解るように説明して」という言葉のもと、取材のたびに駄目出しされながら、あれこれ言葉を変えて説明した解説を、さらに一般の人向けにわかりやすく噛み砕いて校閲されています。もちろん、それぞれの文章が科学的・技術的に見ておかしくないか、何度も意見を摺り合わせながら校閲校正を重ね、表現の(科学的な)正確さも損なわないようにしています。


こうした解説自体もこれまでにはなかった内容なのですが、残りの半分はさらにこれまでになかった「新しい」内容になってます……とは言っても「スペシャルティ」とか、最近一部で流行っている「サードウェーブ」と言った、目新しい考え方や用語だけを紹介しているものではありません。こうした最新の事情ももちろん踏まえてますが、スペシャルティ以前・以後にかかわらず、例えば「研究者たちの視点」というような、これまでとは違う角度から見ることで、新しく見えてくる部分があります。どういう視点であれ、見ている対象が同じ「コーヒー」ということには変わりはありません。しかしいろんな角度から眺めてみることで、コーヒーの姿を、いわば「立体的に」捉えて、より深く理解することが可能になることでしょう

*1:80周年事業で「きょうの料理」など各誌の記念企画が組まれていた。